武田尾廃線跡ポタ 3 [off-road]
こちらにどんどんと近づいてくる。
「こんにちわ!」
できるだけ明るく挨拶をしてみた。
・・・5秒・・・10秒・・・返事がない。
・・・約15秒後くらいか・・・
「おはよ―うございます」
地の底から響いてくるような低く野太い声。
ゆっくりと丁寧。
他意があるようにも感じられる。
挨拶を交わしても緊張は解けない。
そっか、まだおはようございますか・・・
とか考えていると、私の横に立って絶壁から武庫川をながめている。
見るからに山慣れしているその横顔に再度言葉を投げてみた。
「ガードレールの横からでてる道は道場の方まで抜けれるんですか」
「・・・それでは・・・無理やな」
「それでは」とはXTC2のことだろう。
前方をみつめたまま、やはりゆっくりな野太い声。
「歩いてやったら行けるんですか」
緊張を言葉で埋めたい私はつい早口になってしまう。
・・・5秒・・・10秒・・・また言葉がかえってこない。
川向こうの山を見つめている。
サングラスで表情が量れない。
長い沈黙。
しばらくしてゆっくりとこちらを振り返る。
煙草を吸っていた私は緊張。
その人の顔に煙がもろに流れている。
アカン!と思っても煙はどんどん顔に流れてゆく。
なす術もなく、あ~ああ~あと思っていると懐から煙草のソフトケースを取り出して火をつけた。
おそらくきつい煙草だろう。
深~く深~く吸い込んで少し上に煙をはいた。
沈黙の時間と煙草を共有したからでもないのだろうが、私も少し落ち着いた。
今度はトーンを落としてゆっくりと、先ほどの旧草山トンネルと対岸の絶壁の開口部の話をしてみた。
「それは昔の福知山線が通っとったトンネルや」
野太い声。
「このあと生瀬までの廃線跡を走ろうと思ってるんです」
「あっちは一般的なコース、こっちはマニア向けや、だあれもこおへん」
偶然にも通ってきた道をマニア向けと言われて少しうれしいような・・・
会話にリズムがでてきた。
その後も煙草を吸いながらポツリポツリとなんてことない話。
お互いに危害を加える気がないことを確めあっているような・・・
道場側の県道327までは、自転車を担いで川伝いにずり落ちないように必死で進めばたどり着けるらしい。
野太い声で「必死」を何度も強調していた。
「ただ岩場もあるからなぁ~」
要するに無理かもってことね。
煙草を吸い終わって来た道を引き戻す前に、ダメモトで後姿でいいからと写真を頼んでみた。
意外にも 「うっ」 と野太い声を発して背中を向けてくれた。
掲載している2枚がそのときの写真。
「じゃあ」と言ってXTC2にまたがると、野太い声で「気をつけて」だって・・・これも意外!
「またどこかで」そういって来た道を飛ばして帰る。
途中で振り返ると、もう姿は見当たらなかった。
骨太のあじのある山男
MTBを「担ぐ」っていうことも考えなければ・・・
旧武田尾駅跡まで帰還。売店でソフトクリームを買って食べました。
駅跡近くにある店だけあって旧駅舎の写真が飾ってありました。
お店の中には古い駅名板も・・・
「駅名板だけでええのん?モデルも一緒にうつろかぁ~」となかなかノリのいいおばさんでした。
いろいろとまわり道をしましたが、さあ!廃線跡コースを生瀬に向って再スタートです!
ワンちゃんも私と同じく枕木道はやなようです。
なんだなんだ???お年寄りたちがトンネルの入り口に座り込んで写生をしています。
そのトンネルの出口で生瀬側からやってきたMTBの2人組みに遭遇。
こぶしをふりあげて「お"―っ!」っと挨拶 ・・・ なんやねん(笑)
2台共2.3インチタイヤでした。
この日遭遇した自転車はこれが最初で最後でした。
もの静かに歩くお年寄りあり・・・
写真撮影を楽しむ熟年夫婦あり・・・
早足で追い抜いてゆく「ぬりかべ」軍団あり・・・
これホントにびっくりしました。冷蔵庫に足がはえてるようで(笑)。
老夫婦も恋に落ちる秋・・・とか書いてみる。
廃線沿いにあるちょっとした公園の紅葉がきれいでしたヨ。
たくさんの人がお弁当を広げていました。
武庫川に沿って廃線跡も大きくカーブ。
このトンネルの入り口に例のJR西日本の立て看板があったのですが、その前で青年の団体がお祈りのようなことをしていました。韓国語だったように思うのですが何だったのでしょう・・・。例の看板を越えた途端に路面は荒れはじめました。
結構長いこのトンネルのちょうど真ん中あたりで光がゆれていました。たどり着くと小さな机を置いて若い兄ちゃんがコーヒー屋の準備中。机の前には手書きの「トンネルコーヒー」の垂れ幕です。準備中で飲めなかったのですが1杯200円だとか。なかなか明るい気さくな兄ちゃんで、休みの日に店?を出したり出さなかったりと言ってました。写真を撮りたいと言えば携帯電話で照らしてくれました(右上の光)。許可や衛生面はさておきいいアイデアではないでしょうか。トンネルの中はひんやりしてるし、コーヒーの香りが充満して人をひきつけるし・・・誰か一度飲んできて!
なが~いトンネルを抜けると今度は鉄橋です。右側の点検用通路を渡ります。
ここはもちろん押し歩きです。
高くてちょっと怖いのですが、隙間からも絶景。
鉄橋を渡りきるとすぐにまたトンネルです。
世界のおーしまさんが言ってた通り、たしかにカップルも多かったですね。
対岸がいい感じの岩壁になってきましたヨ。
子供達も元気いっぱい・・・って、ここ立ち入り禁止区域なんだけどなぁ・・・
武庫川の岩場もいい感じのもまれよう。
休憩していると、この女子大生キャピキャピ4人組に声をかけられました。
「あのぉ~自転車の写真撮ってもいいですかぁ?」
「い―よ」
口々に「かっこい―」とか「高そ―」とか・・・
「乗ってみる?」
「いえ、そこまでは・・・キャピキャピキャピキャピ(鈴のよな笑声)」
自転車生活2年チョイにして初めての出来事!!!
こんなところを走る自転車馬鹿発見ってブログに書くんかなぁ~
それにしてもなんでこういう場面ではいつも標準語になるかな・・・オレ
みんなしあわせになるんだぜ!(笑)
このあたりは枕木がほとんど埋まってて走りやすかったです。
ド迫力の岩場が見えたら廃線跡コースもそろそろゴールです。
それにしても人が多かった。天気のせいもあるのかな、まるで祭りですね祭り!
結局ここは歩きにくるのがいいかも・・・
枕木は避けるとしても敷石だらけのところもあるしMTBでないとほとんど押し歩きになりそうです。MTBでも空いてるときに来て思いっきり走るのがいいのでしょうね。人が多いと石ハネにも気をつかわないといけないです。だから混んでるときはマニア向けの方に行きましょう!(笑)
おしまい。
2009-11-10 21:09
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コメント(6)
感動の三部作でしたね。
知り合いから誘われていた「武田尾 廃線跡」、先を越されてしまいました。
走りやすいのかどうか判りませんが、良い所には間違いないようですね。
ところで最近のB.B.さんブログ、路線が変わってきました?
物語風になってきていますね。
by charingo (2009-11-11 22:23)
charingoさんどうもです。
景色は最高でしたが走りにくいですよぉ~。ふとcharingoさんを誘ってたらご機嫌ななめになってただろうな~と思いましたもん。ただFuelさんは一般コース、マニアックコース共に大喜びかも(笑)。覚悟を決めて行ってきて下さい。
芸風・・・いや路線は別に変えていませんよ。今回文章にしたのは、山男との緊張感やキャピキャピ女子大生との浮き足立った気持ちがより伝わりやすいかなと思っただけです。文章が下手なので効果なしですが・・・テヘッ(苦笑)
by b.b.mk2 (2009-11-11 23:28)
charingo!さんのコメントのb.bさんの返信に私の名前が出ておりましたので、
ついに「お初コメント」をいたします。
以前からb.b.さんのブログは拝見しておりました。
毎回掲載されている写真はとてもきれいで、見ごたえがありますね。
それとb.b.さんはいつの回も行動派ですね。
綿密に練られた計画はいつも感心しております。
特に地図が掲載されているのはとても参考になります。
今回の福知山線の廃線跡は、私も是非行ってみたいところの一つです。
山男さんとの緊張の中での掛け合いでは臨場感があふれていますね。
特に気に入ったところは「あっちは一般的なコース、こっちはマニア向けや、だあれもこおへん」むっちゃ渋いです。こんな言葉は普通の人は口に出して言えませんよね。
やっぱり男の子はマニア向けですよね。林道や山道とてもワクワクします。
私の場合は、山の中でおばちゃんたちのパーティによく出会います。
おばちゃんの場合は、自転車に関する質問攻めをしてくるので別の意味での恐怖がありますが。
廃線跡のトンネル内はやっぱりバズーカーライト級のライトが必要でしょうか?
ハイキングの方も懐中電灯装備なんでしょうか?
私の連れの話では、枕木の上を走るガタガタ感は脳みそがシェイクされてとても良いと言っていました。
紅葉が終わるまでにここには行っとかなあかんですね。
長々となりましたが、またコメントしますのでよろしくお願いします。
by Fuel (2009-11-12 22:58)
Fuelさん
コメントありがとうございます。charingoさんからこの廃線跡を狙われていることをお聞きしていましたのでフツーにお名前が浮かんで書いてしまいました。スミマセン。ヘビや虫が寝てる間はやっぱり山ですよね!私も林道やけものみちにはワクワクです!!でも登り坂にはまだ二の足を踏んでしまうのですが・・・。おばちゃん達と話すのは楽しいですが質問攻めは確かにこわい(笑)。
福知山線廃線跡のトンネルは結構多くてそれぞれ長いです。荒れている路面を真っ暗な中で走ることになるのでライトは必需品ですね。ハイキングの方々も皆さん片手に懐中電灯をもって歩いていました。前方の路面が認識できる程度の普通のライトでいいと思いますよ。枕木走行の方は想像以上に辛かったですねぇ~サドルを高めにしているので振動を腕や肩で受けてしまって・・・サドルを低めに変えておくべきでした。立ちこぎなら少しはましでしたが、それでも路肩の敷石を走る方がはるかに楽でした。スピードがのれば走破性も上がるのでしょうが、人が多いからとばせないし、悩ましいところです。
Fuelさんの数々のすごいお話しはいつも聞いています。いろいろと教えて頂けましたらありがたいです。自己満足の稚拙なブログですが今後ともよろしくお願いしますね。
by b.b.mk2 (2009-11-13 01:06)
こんにちわ!(*^o^*)
GAMA(29)でーーす。
たまに拝見していますが、走った後の気付きや振り返りが
しっかりされていて見ごたえがあります。
昔は自転車でいろいろ行きましたが、波賀城が最後です。
いつかご一緒しましょう。
(゜-゜)
by GAMA (2009-11-15 22:45)
GAMAさん
コメントありがとうございます。
波賀城って結構高いところですよね。
かなり走り込まれていたんじゃないでしょうか。
いろいろとご教示ください。
今後ともよろしくお願いしま~す!(*^o^*)
by b.b.mk2 (2009-11-15 23:02)